飛行機は東側からニューヨークの上空にさしかかり、機窓からはマンハッタンの摩天楼や、コニーアイランド、自由の女神も望むことができた。
着陸直前、浅瀬の水鳥たちがサーッと飛び立つ姿が美しく、印象的だった。
飛行機は無事JFKに定時に到着。
ところが入国審査待ちで1時間半。実際の審査は1分ほどで終了。無事ニューヨーク市入りしたビリー。
しかし、ビリーはマンハッタンだけがニューヨークだと思い込んでいるため、彼にとって、マンハッタンへ上陸して、晴れて夢が達成されることになる。
JFKは、ニューヨーク市のクイーンズに位置しているけれど、実はマンハッタンへの距離は、ニュージャージー州のニューアーク空港よりも遠い。
JFKからマンハッタンへの移動手段は、シャトルバス(小さい乗り合いバス)か、地下鉄や列車、タクシーという手もあるのだが、疲れていることもあって、一人19ドルと比較的安価でホテルまで運んでくれるシャトルバスに惹かれて、これに乗ることに。
ホテルの名前を告げ、乗り場まで上り坂をスーツケース引きずって、空港立体駐車場の3階まで上った。かなりしんどい。
ほどなくシャトルバス、らしい車が来てドライバーがホテルの名前を告げ、スーツケースをトランクに乗せ、別々のホテル行きの日本人を6人ほど乗せて出発。軽く冗談を飛ばしながら、要所では観光ガイドまでして、途中で降りた組のスーツケースをホテルまで運んでいく。
ビリーご一行は最後のホテルのグループの一員となった。で、無事にホテルまで到着…ところがこれがとんだふんだくりで、ホテルの近くでクルマを止め、ドライバーがとんでもないことを言う。
「ニューヨーク市のタクシーは、ゾーンを越えるごとに課金されていくので、二人で136ドル払え」と。やられた、白タク、いや白シャトルバスだ。もちろん、空港の係はそんな話は言ってなかった。全部込みで19ドルだと。シャトルバスの代金は各社決まっているので、19ドルが正規料金のハズなのだが、そこは白タクならに白シャトルのドライバー、そんな話は聞いていないと言い張る。
すると同じグループの一人が、「クイーンズからのタクシーの課金と同じシステムだと思えばあんたの言っていることも納得できるが、JFKからの正規のタクシー代でさえ、チップ込みで75ドルなのだから、あんたは明らかにぼったくり」だと。
「ゾーンを越えた料金もあるし、高速代も出してるんだから、この料金を払え」とドライバー。
「は?その前に降りた2組分からもぼったくってるでしょう?」
…払え、払わないの繰り返し。ビリーご一行はビックリ眼で、この英語のやりとりを見守っているばかり。
これではらちがあかないと、ドライバーに向けてディスカウントを要求。
焦りだしたドライバーが「いくらなら払ってくれるんだ?」との問いに、その人が「45ドル」と切り出したら、ドライバーは「半額ぐらいの65ドル」と。何回かやりとりしてる間に、ドライバーの目がマジになってきたので、「じゃあ、間を取って55で」と言うことでまとまる。
商談成立。
…ドライバー、値切られたのに何やら嬉しそうに、積極的に値切ったグループの人を「相当なビジネスマンだ」とほめていた。まあ、先に下ろしたグループの人からもぼったくった後なので、それくらいディスカウントしても痛くないのだろう。こちらも、シャトルバスよりは多少高くなったとは言え、JFKからの正規タクシー料金からは十分安くなった上に、観光気分も味わえてホテルまで送ってもらえた、と。一応、ウィン・ウィンになったのかな。
…ということで、すったもんだがあって、積極的に値切った人に感謝を告げ、マンハッタンのミッドタウンにあるホテルに到着。疲れた。ビリー、何事もいい経験、だよね。