2012年6月に発売されたソニーのRX100。このカメラは、従来の高画質コンパクトデジタルカメラよりも大きなイメージセンサーを搭載しており、高画質コンパクトデジタルカメラとしては大きなヒット商品となりました。
このRX100が火付け役となって始まった高画質コンパクトデジタルカメラの「センサーの大型化」。それまでは高画質モデルと言えば、1/1.7インチセンサーを搭載しているモデルがほとんどで、センサーのサイズはあまり注目される事がなく、画素数やレンズの明るさが高画質コンパクトデジタルカメラの指標でした。ところがRX100は1インチのセンサーを搭載し、それまではあまり比較対象となっていなかったセンサーサイズに注目を集める事に成功しました。
もちろん、RX1やRX100以前にも、大型のイメージセンサーを搭載したモデルもあったのですが、コンパクトデジタルカメラとしては非常に大きかったり、また、撮影が非常にセンシティブであったりと、一般受けするものではなかったので、大型のセンサーが自体が注目されると言うよりも、際だった画質やカメラのスタイルが注目されていました。
センサーサイズの大型化は、高感度耐性の上昇とボケ量やダイナミックレンジの増大を意味しますので、それまで高画質コンパクトデジタルカメラの主流であった1/1.7インチセンサー搭載モデルよりも夜間の撮影が綺麗にできたり、また、ボケの量が増たり明暗の差を大きく表現できるなど、撮影のバリエーションが多彩になりました。
さらに2012年11月に発売されたソニーのRX1は、コンパクトデジタルカメラのジャンルながら、高級デジタル一眼レフと同じく、ライカ判(35mmフルサイズ)のイメージセンサーを搭載。20万円を超える価格ながらもヒット商品となり、高画質コンパクトデジタルカメラの流れを、大型イメージセンサーの搭載へと決定づけました。
こうしたセンサーの大型化の流れは、2013年になると、高画質コンパクトデジタルカメラの主流となり、ニコンのCoolpix A、ペンタックスリコーのGRなど、APS-Cサイズのイメージセンサーを搭載するモデルが登場してきました。搭載するセンサーを大きくすれば画質は向上するのですが、それに伴いレンズも大型化が要求されます。むやみに大きなセンサーを搭載しても、レンズが小さければセンサーの性能を活かせない。かと言って、レンズを大きくすると、コンパクトデジタルカメラとは言いがたい大きさになってしまう。ということで、各社、センサーサイズとレンズの大きさのバランスに工夫を凝らす様になっており、今後も多様な高画質モデルの登場が予測されます。
15年ほど前に、CONTAXのTシリーズ、リコーのGR、ミノルタのTC-1、ニコンの28Ti・35Tiなど、高級コンパクトカメラの百花繚乱時代がありましたが、それを思わせる流れですね。
高画質コンパクトデジタルカメラは、どれも若干「お高め」の価格設定になっていますが、今の瞬間を綺麗に残せると言うことで、今後も高級コンパクトデジタルカメラの市場は拡大していくと思われます。