バラの妖精になったつもりのビリーとジョニー。横浜イングリッシュガーデンにて。
ビリーの旅その9・お母さんの伝言
ニューヨーク、DUMBOで出生の秘密を知ったビリーとジョニー。
「お母さんたちはどこにいるんだろう?」
せっかく生まれ故郷のDUMBOに行けたのに、肝心のお母さんの消息は知れず。
そんな時、アザラシのデイジーが、1枚の紙切れをくわえてやってきた。
「くまの兄弟がたずねてきたら、この紙を渡して欲しい」
と、くまのお母さんからの伝言があったと。お母さんの伝言だ。
ビリーとジョニーが紙切れを見てみると、そこには「K」の文字が。
「K?」
Kと言えば、ビリーが肌身離さず持ち歩いているポシェットにも、「K」と書かれた紙切れが。
2つの紙切れを見比べると、デイジーがくわえてきた紙切れには、うっすらと「ホノルル」の文字が。
「ホノルルのK?」
「そこにお母さんの手がかりがあるのかも」
「ホノルルに急ごう」
ビリーとジョニーは、こうしてホノルルを目指しました。
ふるさと発言の失敗から気を取り直し、ビリーはお土産を買ってきたことを思い出した。
ニューヨークのユニオンスクエアから少し南に行ったところにある、絵本の専門店「Books Of Wonder」で見つけてきた「Corduroy」という絵本だ。
本棚でひときわ目立つ赤い表紙に、ビリーにそっくりなクマのぬいぐるみの絵が描かれていたので、手に取らずにはいられなかった。
ページをめくるたび、主人公のクマをビリーの境遇に置きかえて読んでしまい、途中でハラハラドキドキ、ラストに思わず目から涙があふれてしまった感動の一冊。これをみんなに読んであげようと、迷わず購入して帰国した。
店員のお兄さんが、プレゼント用にラッピングをしてくれた緑のペーパーを、先輩クマたちの前で開けると、「なーんだ、絵本か」という目で見ていたが、ビリーが表紙を開いて読み始めると、みるみるうちに引き込まれていった。
絵本の内容は次のとおり。
—————————————————————-
とあるデパートのおもちゃ売り場に、ぽつんと売れ残っていたクマのぬいぐるみ(…ってまんまビリーじゃないですか!)。彼の名前は「コーデュロイ」。その名のとおり、コーデュロイのストラップ付きズボンをはいている。
ある日女の子が彼を見つけて、「こんなクマのぬいぐるみがずっと欲しかったの!」と、一目で気にってお母さんに買ってとねだると、「だめよ。今はもうお金がないの。それにそのクマのぬいぐるみはズボンのストラップのボタンが片方取れているから新品じゃないし」
…女の子はあきらめて立ち去るしかなくて、彼は悲しい目で見送った。
彼はストラップのボタンが取れていることを知らなかったので、見つけ出そうと決意。夜中に一人で動き出して売り場を抜け出し(この時点でテッド化している!)、デパートのエスカレーターを昇り、寝具売り場にたどり着いた。
彼はベッドの上のマットレスに、もう片方のストラップのボタンと同じボタンを見つけた。ただしこれはマットレスをしっかりつなぎ止めているボタンなので、簡単には外れない。何度も何度もぐいぐい引っ張って、やっと取れたかと思ったら、彼もボタンも反動ではじき飛ばされ、そばにあったライトを倒してしまった。
物音に気がついた警備員さんが慌ててやってきて、ベッドの下にかくれていた彼をみつけ、彼をかかえてもとのおもちゃ売り場に連れ戻してしまった…。もう少しでボタンが手に入るところだったのに…。
ところが次の朝、彼が目を覚ますと、目の前にあの女の子が! 開店一番にここに来て「貯金をはたいてあなたを家に連れて帰るの!」と言う。
店員さんが、「箱に入れて上げましょうか?」というのも断り、彼を抱えて早々に家に連れて帰った。
女の子の部屋のベッドのそばには、彼用の小さいベッドも用意してあった。「あなたが来るのをずっと待っていたの…」と。(テッドのような気○いな親子の部屋でなくてよかった…)
女の子は彼のストラップにボタンを縫い付けてくれた。彼は嬉しくて思わず「大好きだよ!」と言ってしまった。(完璧にテッドの流れだ…)
女の子も「もちろん私もよ!」と、彼を強く抱きしめた…。
めでたしめでたし。
—————————————————————-
…ビリーが涙をこらえてやっと読み終えて顔を上げると、そこには信じられない光景が!
先輩クマたちが感動のあまり泣き伏している!
…それもそのはず。うちにいるぬいぐるみたちは、ほとんど同じような境遇で、ここにやってきたものばかりなので、もう身につまされて手が付けられない状態だ。
ああ、なんてドンピシャな絵本をみつけてしまったんだろうか…。ビリー、やっぱり今回の旅は得るものが多かったね。
さて、この「Corduroy」という絵本は、なんと1968年という昔に書かれたもので、とても有名なものらしいです。いつの時代も、いくつになっても、だれもが感動するお話なのでしょう。
映像化もされていて、多少アレンジされていますが、CGなんてもちろん無い時代に、よくこれだけ作り込んだものだと感心させられる作品です。
今回のビリー里帰りツアーメンバーのプロフィールを紹介。
※注意!…あまりにもくだらないので本気で読まないように。
ビリー
ニュージャージー州のニューアーク空港出身。お土産屋にぽつんと売れ残っていたクマのぬいぐるみ。本人はニューヨーク出身だと言い張っている。
ジョニー
アメリカ出身。eBayで無残な姿で出品されていたところを落札。これまた無残な格好で送られてきたという、暗い過去を持ったクマ。ビリーとは双子の兄弟(?!)らしい。
ケイト
縄出身のヤンバルウリボウのぬいぐるみ。ビリーとジョニーが無茶しないように見張り役。
ちびた
千葉動物公園出身のカピバラのぬいぐるみ。どこへでもついていくが、本人どこへ行くのか、まったく興味なし。のほほんとしている和み役。
CARLOS
以前ニューヨークで購入したKiplingというメーカーのバッグに付いてきたモンキーチャーム。今回は彼の里帰りツアーでもある。YuuさんのKiplingバックのANOUKちゃんと仲良し。
リーダー
しろたんを総括するリーダー役。ショップで目が取れかかった状態で安く売られていたのを購入して手当をしたのが、しろたんを集めるきっかけになったという最古参。もう色あせてボロボロだ。
三太
サンタクロースの格好をして売られていたしろたんなのでサンタ→三太と命名。いつもリーダーと一緒に行動している、うっかり八兵衛ならぬ、うっかり三太。
おむたん
おむすびみたいな形をしているしろたんなのでおむたん。マイまくらとして参加。薄汚れてぺしゃんこになってしまったので、またの名をぐれたん…。
ダッキー
セントラルパークの池のほとりで迷子になっていたアヒルの子。栄養豊かなセントラルパークでしっかりと食べているため、体が大きいが、まだまだ子供で甘えん坊。お母さんを探しに旅にでたところ、「自分探し」のビリーと出会い、いっしょに旅をすることを決意(ただ、面白そうだったので)
デイジー
おこりんぼうのあざらしの子供。こう見えて女の子。オムたんと幼馴みかもしれないが、本当のところはよくわからない。セントラルパークで氷にはまってしまい、ひげが全部抜けてしまったことを気にしている。家族はセントラルパーク動物園にいるとかいないとか。